メールニュース

第469号 2012年02月01日発行

野洲市野洲市多重債務者包括的支援プロジェクトと野洲市パーソナル・サポート・サービスモデル事業~縦割り行政の壁を超えた包括的な支援への取り組み ~

近年の厳しい社会経済情勢を背景に全国的に生活困窮者が増加する傾向にある中で,野洲市では全国に先駆けて多重債務者支援に取り組んできました。

 多重債務に陥った生活困窮者は複数の問題を抱えている人が多く,身内など周りの人にも悩みを隠しがちなため,問題が潜在化する傾向があります。しかし,潜在化した問題でも,公租公課や市の使用料等の滞納といったところでSOS信号が表面化している場合が多数あり,生活相談の窓口では把握できなくても,市の徴収窓口では把握することが可能です。

 こうした現実から,「本当に支援が必要な人に相談のテーブルについてもらうこと」を念頭に,相談者に支援の手をさしのべ,生活再建に必要な行政サービスを提供していくことを目的に,平成21年度に立ち上げたのが『多重債務者包括的支援プロジェクト』です。これは,コーディネーター役の市民生活相談室と税や使用料などの滞納情報を保有している所属を合わせた2室7課がチームとして連携し,税等を滞納している市民に滞納の原因を丁寧に聞き取ることで,潜在化している問題を掘り起こすとともに,借金がある場合には債務整理や生活再建などにつなげていく取り組みです。プロジェクトチームでは,相談者の了承を得て債務や滞納などの情報を共有し,全体像を明らかにしながら返済計画等を立てていきます。また,相談者が関係部局をたらいまわしにされないように,関係部局の職員が一堂に集まって相談を受けることにより,生活支援のための行政情報を効率的に提供するとともに,職員同士も部局の垣根を越えて多元的な情報や知識を共有することが可能になりました。

 こういった多重債務者包括的支援プロジェクトでの実績を基にバージョンアップを図り,平成23年度から新たに国のモデル事業として取り組むことになったのが『パーソナルサポートサービス』です。これは,様々な問題領域を抱える相談者に対して,パーソナルサポーターが寄り添って伴走しながら個別的・継続的・制度横断的・包括的に支援を行っていこうとする事業です。

 ただ,野洲市ではパーソナルサポーターが相談者一人ひとりに寄り添う個別伴走型の考え方をもう一歩進めて,行政や地域全体で相談者をサポートするシステムをめざしています。つまり,市が行政の資源をフルに活用しながら,社会福祉協議会や警察,医療機関,自治会といった関係機関等とネットワークを構築し,困っている人たちを取りこぼすことなく手をさしのべて支援できる,地域まるごとのパーソナルサポートの仕組みを作っていこうとするものです。そして,こうした機関と機関,制度と制度をつなぎ合わせていく役割を市民生活相談室が担うことを目標として,日々取り組みを進めています。

 今後は,これらの取り組みを通じて市の各部局の多くの職員が相談業務を担い,各部門の業務をお互いが総合的に担い合っていくようになれば,組織の中の壁は自ずとなくなり,行政における相談業務の重要性がしっかりと位置づけられるだろうと期待しています。