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第200号 2006年05月03日発行

近江八幡市重要文化的景観「近江八幡の水郷」

近江八幡市の風景への取組は,昭和40年代の青年会議所による八幡堀の修景保存運動から始まり,その後,西の湖周辺の水郷地帯の保存,重要伝統的建造物群保存地区の選定,河川改修事業の景観への配慮などの取組が行われてきた。

 平成17年3月に風景づくり条例を制定し,同7月には風景計画(水郷風景計画編)の決定を行った。

 この取組の結果,平成18年1月26日に重要文化的景観第一号として選定された「近江八幡の水郷」は,琵琶湖の東岸のほぼ中央に位置し,近江八幡市と安土町にまたがる西の湖の周辺に広がる複雑な水路,ヨシ地,水田,集落そして里山へと連続する景観によって構成されている。

 西の湖と琵琶湖の間にはかつて大中の湖と呼ばれる内湖が存在し,その周囲で営まれる様々な生業によって,この地域独特の景観が形成・維持されてきた。西の湖に面する円山は簾や葭簀の原料となるヨシを毎年刈り取って焼くというヨシ生産業によって成立した集落であり,白王(白部地区)は大中の湖での漁業によって形成された集落である。両集落の地先には島状の水田が複数存在しており,稲作が連綿と続けられてきた。また,近世に羽柴秀次が八幡山城の麓に城下町を開き,運河として八幡堀を掘削して琵琶湖を航行する船を八幡堀へ寄航させ,湖上流通を握ったことにより商工業が発展した。このため廃城後も在郷町として商人が活躍することができた。

 現在の景観は圃場整備や干陸事業により大きく変化したが,今なお往時の面影を色濃く残している。近江八幡市は平成16年度から2年間文化庁より文化的景観モデル事業に選出され,今回選定された地域の調査と研究を行い,市民の方々の同意を得て,文化庁に申出を行った。今回選定されたのは西の湖とその周辺のヨシ地及び西の湖と琵琶湖を繋ぐ長命寺川と八幡堀を含む約174.6ヘクタールの区域であるが,今後は上記の要素を加えた複合景観として選定されるよう,取組を進めていく。