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第726号 2017年03月22日発行

東近江市平成の氏子駈・氏子狩復活事業

木地師資料館 木地師資料館

 東近江市の蛭谷町と君ヶ畑町は,ろくろ技術を全国に広めた木地師の発祥の地と言われ,全国で活躍する木地師やその子孫の多くが当地を縁とする「木地師のふるさと」です。

 木地師とは,とち・ぶな・けやきなどの木を伐り,ろくろとカンナを使って,椀や盆,こけしなど円形の木地を作る職人のことで,ろくろ師や木地屋とも呼ばれていました。かつて,木地師は山に入り込んで,良材のある間その山で生活しつつ職業を営み,良材がなくなれば家族全員で新しい山へと移住していきました。

 江戸時代には,木地師を保護し統括する支配所(役所)が小椋谷の蛭谷町と君ヶ畑町に作られ,全国各地で活動していた木地師がどの支配所に属しているかを確認する作業「氏子かり」が行われました。「氏子かり」に際しては,氏子料や初穂料などを徴収し,これら金銭の授受の記録が「氏子駈帳」・「氏子狩帳」と呼ばれるものです。

 現在,市内で活動する木地師は少数で,全国的にも生業とする木地師は減少傾向にあり,今後木地師の技術と伝統を継承していくことが危ぶまれています。木の文化を守るとともに,ろくろの技術が日本の産業の近代化を支えてきた意義を考えるとき,当地域の歴史文化や全国に広がる木地師のネットワークは,後世に伝えるべき大切な資産と言えます。

 「平成の氏子駈・氏子狩復活事業」は,木地師に関わる文献や資料等の整理を進めるとともに,東北のこけしや石川県の山中漆器の産地,長野県の南木曽,和歌山県海南市,岡山県真庭市,大分県中津市など,全国の木地師ゆかりの地域へのヒアリングに出かけています。

 また,全国の小椋姓や大蔵姓をはじめ,東北地方の佐藤姓や星姓,堀川姓などが木地師のルーツと非常につながりが深いと言われていることから,これらの方を対象に,本市との交流の可能性などについて把握するため,アンケート調査を行っています。

 木地師をはじめモノづくりをテーマとした仕事創出や木の文化の復活,さらにまちづくりについて,本市発祥の近江商人の歴史文化やネットワークと併せて検討しています。