第970号 2022年10月03日発行
甲賀市幻の忍術書を発見!
●忍術書「間林清陽」を発見!
甲賀・伊賀49流の忍術をまとめたという忍術書「万川集海」は甲賀市の指定文化財で、日本遺産の構成文化財にもなっている忍術書です。この「万川集海」の冒頭「凡例」には、「この万川集海は、初めから終わりまで「間林精要」の要点をまとめて用いて、伊賀・甲賀11人の忍者が秘匿していた忍術や忍器のうち、時代に合わないものを捨て、合うものを選んでまとめたもの」と記載されています。
これまで、この「間林精要」は万川集海に記載があることから存在は知られてはいましたが、公に発見・公表されたことはなく、幻の忍術書と言われてきました。しかし、この度、甲賀市の地域おこし協力隊 隊員の福島嵩仁さんと、地域の方が調査を行ったところ、甲賀市甲南町葛木地域の蔵の中から、万川集海に記載されている「間林精要」と思われる「軍法間林清陽巻中」が発見されました。
●「軍法間林清陽巻中」を調査しました。
現物は発見されましたが、その内容について調査を行うため、甲賀流忍者調査団団長である国際日本文化研究センターの磯田道史教授、忍者研究の第一人者である三重大学国際忍者研究センター副センター長の山田雄司教授のお二人にも参加いただき、調査を実施しました。調査の結果、この間林清陽は、写本記載の内容および筆跡等から江戸中期の延享5年(1748年)に作成されたと考えられ、「万川集海」の成立は延宝4年(1676年)であることから、今回見つかった「間林清陽」は約70年後に書かれた写本であると考えられることや、上下巻の存在が推定されること、記載された「忍術」は極めて実戦的な忍術であること等が明らかになりました。
●今後の活用について
今回発見された「軍法間林清陽巻中」はレプリカを作成し、甲賀流リアル忍者館で展示しています。
今後、間林清陽に記載された「忍器」や「忍具」の再現を行い、展示等活用を進めていきたいと考えています。